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人間の最初の言語

Q:人間が一番最初に話した言葉は何語ですか。

A:こちらの記事で超大陸時代の言語の話をブログに書きました。簡単に要約すると、もちろんこの時代には人類がいなかったので、人間言語は存在していない、また言語学的には古い時代の言語をたどることはできないという内容です。

しかし太古の昔から人間の知識欲はとどまるところを知らなかったようで、歴史上、多くの人が人類最古の民族についても知りたいと考えていたようです。

今回紹介する話は単なる昔話で、何の根拠もあるわけではありませんが、西洋史や言語学を学んだ人ならば「世界最古の言語はフリュギア語」という話をどこかで耳にしたことがあるのかもしれません。これは「歴史の父」として知られている古代ギリシャの歴史家、ヘロドトスの、その名もずばり「歴史」という書籍の中の巻2の2で書かれている話です。当該箇所はさほど長くありませんが、簡単に要約しますと以下のような内容です。

エジプト人たちは彼ら自身が歴史上最初の民族であると考えていた。しかしプサンメティコス王は人類最古の民族を知りたくなった。そこで生まれたての2人の赤ん坊を隔離してある羊飼いに育てさせ、人間の言葉を一切聞かせないよう命じた。2年後、この赤ん坊が最初に発したのが「パン」を表す「ベコス」というフリュギア語であり、エジプト人は自分たちよりもフリュギア人たちがもっと古い民族であることを認めることになった。

かなりめちゃくちゃな実験で、この赤ん坊たちがあまりにも気の毒です(笑)

ちなみにフリュギア語についてはこちらのWikipedia記事が参考になります。

私自身、実は歴史そのものにはさほど関心があったわけではなく、ヘロドトスの「歴史」もこの箇所しか読んだことがないのですが、Amazonでのレビュー記事によれば、大変面白い内容とのことです。時間ができたら他の部分も読んでみたいと考えていますが、いつになることやら。

今回の記事を書くにあたって、日本語訳をすぐに参照することができませんでしたので、当該箇所についてはProject Gutenbergのこの記事を参考にしました。一度全体を表示させてから、Bekos で検索するとすぐに見つけることができます。

venue と avenue/オンラインの語源辞典

Q:「会場」という意味の venue に a をつけると avenue になりますが、何か関連はありますか?

A:英単語だけ見ていても関連はなさそうに見えますが、実は語源的には共通しています。しかし a は不定冠詞の a ではなく、ラテン語の前置詞 ad (~へ)に由来します。

いつもならここで英語語義語源辞典からの記述を引用するところです。しかし語源辞典には独特の記述があり、「ラテン語から派生した古フランス語の過去分詞の女性形」のように書いてあったりします。実際にこれをもう少し詳しくした内容が venueの欄に書かれていますが、そこまでは関心ないという方も多いことでしょう。

そういう時におすすめなのが、語学関連書籍の出版を多数行っており、またオンライン辞書である英辞郎 on the WEBでも有名なアルクがウェブサイト上で提供している語源辞典です。こちらのサイトです。トップページからたどる場合は、左側の「コンテンツメニュー」の「英語」を開き、続いて画面上部の「ボキャブラリー」を開くと、画面中程にこの語源辞典へのリンクが見つかります。ちなみにこのようにたどっていくと今回紹介する語源辞典だけでなく、様々な単語学習関連の読み物などが見つかります。

さて、この語源辞典ですが、入力欄に avenue か venue のどちらかを入力してみて下さい。どちらを入力して検索しても同じページに行き着きます。結局これらはいずれもラテン語の venire(来る)という単語が共通する語源であり、検索語の語源となる単語を基準にまとめられています。そしてこのページには同様にラテン語の venireが語源の単語がずらずらと大量に表示されます。え、こんな単語も関係があったの?というような発見がきっとあることでしょう。このような一覧性は英語語義語源辞典には全くありません。

これなら無料で利用できますので、いつでも気軽に使えますね。私もよく利用しています。当然ながら英語語義語源辞典のような個々の単語の細かい情報までは手に入りません。上手に使い分けたいところです。

同様にオンラインの語源辞典としては、Online Etymology Dictionaryもおすすめです。英語圏のサイトのため全て英語表示になっていますが、とりわけ単語の歴史的変化については、具体的な年代までがはっきり書かれており、この点に関しては英語語義語源辞典よりも詳しいと言えるでしょう。

ついでながら「語源」という語を英語で etymology と言います。この単語の綴りを覚えておき、Googleの検索窓に「etymology avenue」というように入力して検索すると、このOnline Etymology Dictionaryのサイトでの結果が上の方に表示されて便利です。

語源に関心を持ったら、このようなオンラインの語源辞典も是非使ってみて下さい。

世界の言語の数

Q:世界にはいくつの言語があるのですか。

A:6909言語です。いきなり具体的な数字を示しておきました。

これまでにも世界中の研究機関などが世界の言語の数を数えようとしていますが、そのような試みの中でも比較的よく知られているエスノローグ(Ethnologue)と呼ばれる研究成果の最新版である第16版では、これだけの数の言語が別々の言語として扱われています。この言語リストは書籍版のみならずウェブ上でも公開されています。

どうやらWikipedia日本語版のエスノローグの項目は本ブログ記事執筆時点では若干古い内容のようで、一つ前の第15版のことが書かれているようですが、Ethnologueを運営しているのは、ここにもかかれているように、キリスト教系の研究団体の国際SILと呼ばれる組織です。

またエスノローグでの言語分類によると、日本で使われている言語は15種類という、ちょっと違和感のある分類になっています。この中には一般的には我々の感覚では琉球方言とひとくくりにできる諸方言があるのですが、これらもエスノローグにかかれば「別々の言語」として扱われてしまいます。その一方で「関西弁」は日本語と同一の扱いになっています。これはあまりにも残念です!!(笑)

ところで、上記では6909という具体的な数字を示しましたが、実際には言語の数を数えるのは非常に困難です。世界の言語の数はWikipedia日本語版の「言語」のページの中でも書かれていますが、ここでは「千数百とも数千とも言われる」とのことです。他にも言語の数には諸説あり、2796言語、4200~5600言語、8000言語超と様々です。

Wikipedia記事に詳しく書かれていますので、これ以上の説明は省きますが、なぜ言語の数が数えにくいのかも説明されています。簡単にまとめておくならば、結局、何を「言語」とし、何を「方言」とするかの境目が設定しにくく、また「方言」と「方言」の境目も厳密に区別をすることが難しい、ということになります。

un- と under は同一語源?

Q:否定を表す un- と前置詞の under は関連があるのですか?

A:面白い質問ですね。手始めに、このブログでもおなじみ、英語語義語源辞典で調べてみましょう。

un- [語源] 古英語 un- から
under [語源] 古英語 under から

...ゲームセット。(笑)

古英語とは英語語義語源辞典では449年-1100年の英語を指します。実はこれ以上は「英語」の語源という意味では掘り下げることはできませんし、英語の学習にはさほど意味があるとは言えないでしょう。むしろここから先はゲルマン語を中心とする言語学、とりわけ歴史言語学や比較言語学という領域を専門とする言語学者の研究対象ということになってしまいます。私自身、ここまでの知識はありませんし、これ以上掘り下げて考えてみるつもりはありません。

英単語の語源を考える場合、その単語の元となる形が英語に入ってくるまでのルートはいくつか考えられますが、どの言語でも同じように、結局は(1)英語に元から存在した (2)英語に後から入ってきた の2通りです。

(1)の英語に元から存在した、という単語が結局は古英語ということになるのですが、これはインド・ヨーロッパ語族ゲルマン語派の中の一言語ということになります。そしてインド・ヨーロッパ語族に含まれる12の語派の中では、ゲルマン語派については残念ながら古い言語形態が分かる資料がさほど多く残っていません。

語源と言えば、以前、世界最大の英語辞典、Oxford English Dictionaryについて紹介しました。実は un- や under について、この辞書で調べたところで、さほど多くの情報が分かるという訳ではありません。なにしろ古英語の記録が少ないのですから。その点、上記の(2)に当たるような、例えばラテン語からフランス語を経由して英語に入ってきたという単語であれば、まだラテン語やフランス語の辞書を見て掘り下げることが可能になってきます。さらにラテン語や、ラテン語に多くの影響を与えたギリシャ語については、古英語よりも遥かに古い時代の言語であるにも関わらず、豊富な言語資料が残されています。

ところで、英単語の力を伸ばすには語源を知ると良い、という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。確かにそういう一面もあります。しかし気をつけないといけないのは、全ての英単語の学習に語源が役に立つわけではないということです。具体的には英語語義語源辞典で調べた時、「古英語から」と書かれているものは、語源を覚える必要は全くありません。

語源を使った単語学習において、注目すべきなのは古英語に続く中英語(1100-1500)、さらに初期近代英語(1500-1700)以降のものです。これらの時代に英語に入ってきた単語の多くはラテン語に由来し、ラテン語のいくつかの表現が英単語の本質的な意味を知る上で有効に機能してきます。特に初期近代英語以降ではラテン語を起源とする学術用語が大量に英語に入ってきており、様々な単語の中にラテン語に由来する共通項を見つけ出すことができます。

例によって話があちこち脱線しましたが、
・語源を掘り下げても無駄という単語もある
・語源に注目することが常に英語学習に有効であるとは限らない
以上2つが今日のまとめです。

EUと言語の統一

Q:EUは言語を統一すればいいのではないでしょうか。

A:とんでもない!!暴論です。身の回りのあらゆることが単一の言語で片づいてしまう国ではこんな議論が出てくることもありますが、むしろこのような国の方が数の上では少ないということをしっかり認識してもらいたいと考えます。

西ヨーロッパだけで考えてみても、英語以外に40もの言語があります。この中には話者数が減っていて、この先消滅してしまう可能性のある言語も多数含まれます。EUだけでなく様々な動きの中で地域言語の持つ力はますます弱くなってしまい、衰退の道をたどることが危惧されます。とはいえ、これはある意味避けられないことかもしれません。言語学大辞典によると、例えばケルト諸語は「一般的にみて死滅に向かう言語」とされています。

言語が失われていくのを止めるのが非常に難しいのは事実です。社会生活を送る上で多言語併用が必要不可欠になっている国はたくさんありますが、その中で人々が「力のある言語」に集中していくのは当然考えられることで、やむを得ないことと言えます。また、これまでにも戦争や疫病により、多くの言語が失われてきました。教育などの場を通じて「伝統文化」を残す動きはたくさんありますが、「言語」も同様に残していくべき遺産であると言えるでしょう。幸か不幸か日本語はあまりにも強力な言語になってしまったため、我々がこのような少数言語の現実について考える機会は減ってしまっています。

正確に調べたわけではありませんが、例えば、大学4年間の全ての授業がその国のいわゆる第一言語だけで行うことができる国は20にも満たないはずです。幸いなことに日本はその中の一つです。明治以降の翻訳文化により、日本語は大学レベルの学問ができる「力のある言語」になりました。一方、現在多くの国、例えばアフリカなどでは、自らの第一言語だけでは大学教育が成り立たず、英語やフランス語などに頼っている国が非常に多いわけです。

世間では複数の言語が話せることが幸せだと考えられる傾向がありますが、これも考え方次第では非常に不幸な話なのかもしれません。誰にとっても、一番話し慣れた自分の母語と異なる言語によってしか高度な情報を獲得できないこと、またその言語でコミュニケーションを取らなければならないことは、個々人にとっても、社会全体のコストから考えても、決して容易なことではありません。

もちろん政治的な理由で言語を統一しようとするのもとんでもない話です。これは日本がアイヌに対して行ってきたことからもわかります。アイヌについては、例えば20年前と比べると復興のための大きな手がかりをいくつも手に入れてきていると言われていますが、それでもまだまだ不十分のようです。そして一度政治的に動いてしまうと、もはや取り返しがつかなくなってしまう問題でもあります。

世界人権宣言や国際人権規約には言語による差別があってはならないこと、自己の言語を使用する権利について述べられています。10年以上前に出版された「ことばへの権利」という本もありますが、「言語権」への注目はまだまだ不十分なのかもしれません。この本の表紙には「すべての言語は十分な発展を可能にする条件を享受すべきである。」と書かれています。

「EUは言語を統一すればいい」という見解は、極端に考えれば「世界の共通語は英語だ」という見解に繋がります。しかし、果たしてそれで良いのでしょうか。

先人たちの努力により、日本語は十分に発展することができました。これから日本語はどうなるのでしょうか。英語に飲み込まれていくのでしょうか。

まずは多くの人に「言語権」という考え方を知ってもらいたいと思います。

そしてみなさんはどんな姿勢で英語を学んでいきたいですか。また、日本語をどう考えますか。

英語で日常会話ができるようになりたいんですが…

Q:大学在籍中に英語を日常会話ぐらいしゃべれるようになりたいのですが、どうしたらいいですか?

A:回答に困る質問です。よく誤解されますが、実は日常会話ほど難しいものはありません。「日常」ですから、いつどんな内容を聞かれるか分かりません。大学のこと、家族のこと、趣味のこと、政治のこと、歴史のこと…日本語での日常会話だっていろんな話題が出てきますから、それを英語でやろうとすると結構大変です。こういう現状を認識せず「学校でたくさん英語をやったのに、日常会話ひとつできない」なんてぼやいている人がいます。無理ですって。日常会話なんて。

というわけで、がっかりしてしまうかもしれませんが、実際問題として「大学在籍中に英語の日常会話をできるようになる」というのはかなり困難です。それでもどうしても日常会話できるようになりたいということでしたら、場面ごとの状況設定を考えた練習を積み重ねることですね。ラジオやテレビの英会話番組も役に立つと思います。

外国語というものはすぐに身につくようなものではありません。何しろ時間がかかるのです。小さな目標を設定して、少しずつそれを達成していくしかないのです。つまり日常会話ができるようになりたいというのは、あまりにも大きすぎる目標設定です。

会話はキャッチボールですから、当然のことながら相手の言っていることが理解できないと話は弾みませんよね。まずは小さな目標として、相手の言っていることが理解できるような基本的なリスニングの力をつけましょう。これとて短期間で身につくものではありません。まずは語彙力も必要ですね。おすすめなのはリスニング学習教材で、英語原文と日本語の対訳がある資料です。まずは聴いて分かる力をつける前に、読んで理解できる力をつけましょう。読むといっても、後ろから日本語に訳しながら、というのでは全然間に合いません。英語を前から意味の固まりとしてとらえていく練習が必要でしょう。理想的には、聞こえてくるのと同じスピードで、英文の文字を追いかけていき、その英文の意味する内容が頭の中に映像として浮かんでくるようにすることでしょうか。このような練習を積み重ねると、次第に「英語を英語のまま理解する」こともできるようになります。

しかし勉強の仕方も人それぞれです。小さな目標を立て、それを達成するために自ら学習方法を考えていく必要があると思います。

市販の教材でも良いものが出ています。最近ではゴルフの石川遼選手も利用しているという「スピードラーニング」も話題になっているようです。少々高い教材ですが、学習方法としては決して悪くありません。でもこれを使った学習にしても、1日10分程度聞き流すよりも、1日30分かけて英文原文を前から順番に読めるような力を養うことや、なぜこの英語表現がこの日本語訳になるのかをじっくり考えるなど、学習において工夫すべきことはいくらでも見つかります。

繰り返しになりますが、日常会話ぐらい、というのは無謀なことです。まあ気楽にやりましょう。

まずは何から始めましょうか。ゆっくり考えてみてください。

オーストラリアは英語?オーストラリア語?

Q:聞き取れないほど訛りがひどく、アメリカやイギリスからも遠いオーストラリアの言葉を「英語」とする根拠は何ですか。

A:実際のところオーストラリア英語が「聞き取れないほど訛りがひどい」というのは一種の偏見であると考えた方が良いでしょう。英語学習者の皆さんにとっては、どちらかと言えばアメリカ英語の聞き取りにある程度は慣れていることでしょうし、実際にはアメリカ英語であっても完全に聞き取れるわけではないことでしょうから、イギリス英語やオーストラリア英語など、音声面でアメリカ英語と異なっているものに抵抗を感じることはあるのかもしれません。でもひとたびアメリカ英語の音に慣れてしまえば、イギリス英語やオーストラリア英語など、少なくとも英語母語話者によって話される英語音については、アメリカ英語との特徴の違いを掴むようにすれば、さほど苦労することなく聞き取れるようになることでしょう。

これは日本語の方言の場合も同じではないでしょうか。お笑い芸人が方言をネタにすることもありますが、初めて耳にするような方言の音でもある程度聞き慣れてくると、特徴が分かって来ますね。もちろん聞き慣れている音と異なる音に拒否姿勢を示すような人であれば、なかなか難しいのかもしれませんが。

方言や訛りと言えば、どうしても中央から離れた場所で話されるイメージを持ってしまいがちですが、Wikipediaの「オーストラリア英語」の記事でも書かれている通り、方言は地方によって分類されるより、階級や学歴で分類されることの方が多いです。また、言語学の一分野である社会言語学では、方言は単に言語変種の1つとして扱われ、地方だけを基準にすることで標準的とされるものとの間の差異を考えることはありません。このことについては同様にWikipediaの「言語変種」の記事が参考になります。

ところで、言語の名称はほとんどの場合、政治的に決まるものと考えることができます。オーストラリアの言語が英語なのは、オーストラリアが英連邦王国の一つであることもその根拠に挙げることもできるでしょう。もちろんアメリカやイギリスなど、他の英語圏の国との間での人の往来も頻繁に行われています。

しかし人の往来が途絶え、国同士の関係が悪化してしまうと、実質的には同じ言語であっても、言語名が分かれてしまうことがあります。例えばインドとパキスタンは宗教上の理由などで国同士の関係は良くありませんが、インドの公用語の一つのヒンディー語とパキスタンの公用語のウルドゥー語は相互理解が可能であり、言語学的にも同一言語での変種と考えることができます。一方、日本国内でも東北方言と琉球方言の間での相互理解可能性はかなり低い場合がありますが、いずれも日本語として扱われますね。これは日本という国の政治的な理由です。

それでもなお、もし仮にオーストラリア人が自分たちの言語を「英語」ではなく「オーストラリア語」と呼ぶことを好むのであれば、それはそれで尊重する必要があるのかもしれませんね。あまり比較の対象にはなりませんが、関西人が自分たちの話す言語について、「日本語」という呼称と「関西弁」という呼称のどちらを好むか、という調査が仮にあるとしたら、おそらく後者の方が好まれるのではないかと感じます。

しかしオーストラリアにとっての経済的なメリットを考えると、彼らの言語は英語であると看做した方が何かと有利なのかもしれませんね。仮に「オーストラリア語」であると主張したりすると、それは観光収入や貿易収入にも影響を及ぼさないとも限りませんから。

ところで、オーストラリア英語についてもっと詳しく知りたいという方は、是非英語版WikipediaでのAustralian Englishのページを読んでみて下さい。音声面や語彙面など、日本語版の記事では触れられていない豊富な情報が見つかります。例えば different の後ろに前置詞をつける場合、アメリカ英語では from が一般的ですが、オーストラリア英語では to も来るといったことが紹介されています。さらにはオーストラリア国内での方言についても別の項目へのリンクで説明されています。

多義語の意味の数

Q:haveにはいくつ意味がありますか?

A:面白い質問です。そして難しい質問です。一般に多義語と呼ばれる単語で、その意味の数を数えようとするならば、まず何らかの基準を設けないことには話が始まりません。

多くの英語学習者は英単語の意味に対応する日本語の意味を当てはめながら一つずつ覚えて行きます。最も一般的な意味は「持つ」でしょうが、例えば「持っている」「所有している」「ある」などという訳し方は「持つ」と同じ意味として扱うのでしょうか。あるいは異なる意味として扱うのでしょうか。おそらく一般的には、これらは同じ意味であるとして、1つにまとめて数えることになります。

次に have の別の意味として「ペットを飼う」はどうでしょうか。確かに日本語では「持つ」と「飼う」は区別しますが、自分(または家族)の所有物として自分(または家族)の暮らす家に持っているペットとして考えるならば、「持つ」と「飼う」はさほど区別して考える必要はなさそうです。1つとして数えるか、2つとして数えるか、ちょっと怪しくなってきましたね。

また使役動詞と呼ばれるhaveの用法はどうでしょうか。確かに「have 人 動詞の原型」と並べると、「人に~させる」というような意味になりますので、表面的には「持つ」という意味とはかなり異なることは明らかです。でも「~やってくれる人を自分の支配下に持っている」という意味に取れなくもないですね。とすれば、haveの意味は1つでしょうか?2つでしょうか?それとも3つでしょうか。

さらに別のhaveの用法として、完了形のhaveについて考えてみましょう。haveの後ろに動詞の過去分詞形を持ってくることで、継続/完了/結果/経験の意味を表すことができると中学校で習います。これはどのように数えましょうか。継続のhave、完了のhave、結果のhave、経験のhaveということで、4つに分けることもできますし、同じ「完了形」というくくり方で1つとして数えることもできます。

でも、仮にこれが過去分詞で表される内容を「経験として持っている」と捉えてみたらどうなるでしょうか。

ちょっとややこしい説明かもしれませんので、こちらからお借りしてきた例文で示してみましょう。

(1) He has been sick in bed since last Friday. 「彼は先週の金曜日から、ずっと病気で寝ています。」
(2) I have just washed my father's car. 「私はちょうど、父の車を洗い終わったところです。」
(3) My father has gone to Paris. 「私の父はパリへ行ってしまって、今ここにいない。」
(4) I have been to Los Angels once. 「私は1度、ロス・アンジェルスへ行ったことがある。」

それぞれ、一般的な説明の仕方では、上から順番に継続、完了、結果、経験の用法であると説明されるところです。しかし、これらもちょっと別の角度から眺めてみますと、こんな意味に取れなくもありません。

(1') 彼は先週の金曜日から、ずっと病気で寝ている状態であることを経験した。
(2') 私はちょうど父の車を洗い終わったということを経験した。
(3') 私の父はパリに行ってしまったということを経験した。
(4') 私は1度、ロス・アンジェルスへ行ったことを経験した。

ちょっとひねくれた訳し方かもしれませんが、全部「経験した」にまとめることができますね。

さらにひねくれてみましょう。

(1'') 彼は先週の金曜日から、ずっと病気で寝ている状態であるという経験を持っている。
(2'') 私はちょうど父の車を洗い終わったということ経験を持っている。
(3'') 私の父はパリに行ってしまったという経験を持っている。
(4'') 私は1度、ロス・アンジェルスへ行ったという経験を持っている。

こういう訳し方は不自然かもしれません。でも結局、これらも「持っている」にまとめることができました。

さてさて、haveにはいくつ意味があると言えるでしょうか。今日の記事は全く質問への回答にはなっていませんが、これをいくつであると数えるべきか、皆さんもじっくり考えてみて下さい。

このような単語の意味の捉え方については、英英辞典での意味の記述や、認知言語学と呼ばれる分野での考え方も参考になってくるかもしれません。いずれまた別の単語を使って改めて紹介します。ひとまず今日のところはここまで。

単語の覚え方

Q:単語の綴りや意味はどのようにしたら覚えやすいですか?

A:そもそも大学生の皆さんの学習目標としては、必ずしも単語の綴りを覚える必要はないのかもしれません。また、単語の意味にしても、中学・高校では与えられた英文を使って学習する中で、未知語は欄外の注釈や単語帳、辞書に載っている意味を参考にしながら、英文を和訳するという形で、少しずつ単語の意味を覚えていくという活動がほとんどだったことと思います。そして単語テスト対策で、同じ単語の綴りを10回書くといった学習をやった経験のある人も多いでしょう。

もちろんこれらの学習は大学での英語学習でも同様に当てはまるわけですが、せっかくですからもっと高度な単語学習にも目を向けたいところですね。

仮に皆さんが英単語を2000語知っているとしましょう。これは一体、どういう状態を指しているのでしょうか。2000語で書かれた文章を読むことはできるかもしれません。しかしその文章が読み上げられたものを音声で聴く場合、本当に全てが理解できるでしょうか。また、知っている単語を使って英文を書くという練習も中学校や高校でも行っているはずですが、すらすらと書けたでしょうか。さらに知っている単語をいつでもどこでも会話で使えますか。だんだん怪しくなってきますね。

「単語について知っている」ということを細かく分析してみますと、それは「単語の形」「意味」「使い方」に分けることができます。

さらにこれらを細かく見ると「単語の形」については「どんな音か」「どんな綴りか」「どんな仕組みで綴るのか」、「意味」については「そのものの意味」「概念が指し示す意味」「そこから連想できる意味」、「使い方」については「文法的に正しく使える」「他の単語との組み合わせ方」「使える場面」に、それぞれ分けることができます。

さらにさらにこれらをもう一段階細かく見ると、いずれも「聞く・読むための知識」と「話す・書くための知識」に分けることができます。

つまり「単語について知っている」ということはこれらの組み合わせ、計18通りの知識を持つことになるわけです。

なんだかややこしい話になってきましたね。これは語彙指導のための研究を行っているPaul Nationという人の考え方を専門用語を使わずにざっくりとまとめたものです。もちろん英語の母語話者であっても、それぞれの単語についてのこれらの知識をまんべんなく持ち合わせているわけではありません。

例えば冒頭で述べた単語の綴りを10回書くという練習方法は、この中のどの領域を鍛えるための練習でしょうか。よく考えてみると、綴りを10回書いたところで、それが英会話の中で使えるようにはなりませんね。仮に英会話で使うための単語を覚えるのなら、綴りを書いて覚えるというよりも、意味と音の組み合わせを覚えて、それが適切な状況で口から発信できるという状態にしなければならないわけです。

単語を覚えたい場合、どういったことを目標にするのかで勉強の仕方も変わってきます。大学での英語授業用の教材で考えてみます。例えば読解中心の授業などでは英字新聞などが素材に使われることが多いかもしれません。この中で出てくる専門用語などの未知語は、必ずしも綴りを10回書いて覚えるようなものではないのかもしれません。単純に、こういう語形はこんな意味である、見て分かるということだけでも足りるかもしれません。一方、英会話の授業などで使う教科書で出てくる単語は、読んで分かるだけで留めておくのはいかにも不十分ですね。この場合も同様に、単語の綴りを10回書けば使えるようになる、というものでもありません。

もちろん10回書くという学習方法が効果的に作用する場面もあるはずです。

いずれにしても単語をどういう形で覚えたいのか、ゆっくり考えながら、それぞれにあった適切な学習方法を探してみて下さい。

ついでながら『英語のスペルは覚えるな --スペルにこだわると英語は上達しない--』という本があります。ちょっと衝撃的なタイトルですが、この本では日本人はもっともっと単語を音で覚える練習を取り入れるべきである、というようなことが主張されています。

言語の起源はどこまで遡れるか?

Q:元々一つの大陸だったのになぜ世界にたくさんの言語ができたのですか。

A:とても面白い質問ですが、言語学的に考えても何も分かりません。

今日の記事はあちこちWikipediaへのリンクを張る形でまとめますので、リンク先も併せて参照して下さい。

そもそも一つの大陸だった時代というのはペルム紀から三畳紀にかけて存在した超大陸のパンゲア大陸を指すのでしょうが、この時代には人類は存在していません。ですから人間の言語自体がありませんので、一つの大陸だったことと世界に多くの言語があることは直接の関連はありません。

しかし人類の祖先については、アフリカ単一起源説、つまり地球上のヒトの祖先はアフリカで誕生し、その後世界中に散らばって行ったという考え方があります。この仮説を支持する限りにおいては人類の共通の祖先は14~20万年前ということになります。とするとこの時代まで遡って考えれば、全人類の言語も共通の祖先である一人の話者が話した言語から散らばったということになるでしょう。

従来の言語学では基本的には書かれた言葉の記録を材料として研究を進めて行きます。言語学の研究分野には歴史言語学比較言語学と呼ばれる手法があり、別々の言語で書かれた記録を付き合わせながら、それぞれの共通の祖先(祖語)を探し出すという研究も、特に19世紀以降、途絶えることなく行われています。そしてそれを基準として世界中の言語を語族に分けるという考え方の一端は高校の世界史の教科書などにも登場しますね。また英語もこの中に含まれる、インド・ヨーロッパ語族は良く知られていると思います。

では、書かれた言葉の記録を材料に研究を行うとして、最古の文字記録はいつ頃のものでしょうか。これも世界史の教科書にも書かれていることですが、紀元前3500年頃の楔形文字が最古の文字の一つであると言われています。

もはやパンゲア大陸の話やアフリカ単一起源説の話と比べるまでもありませんが、言語学を手がかりに共通の祖先である一人の話者が話した言語を探そうとしても、全く資料が足りないことになります。インド・ヨーロッパ語族の祖語を再構築する研究にしても、せいぜい6000年前~9000年前までしか遡ることはできません。そしてこれらは書き言葉としては全く残っていませんので、研究によって得られた理論上の形ということになります。つまり言語学的には、人間の言語の起源を探ることは、資料がないため不可能ということになります。

その一方で、人間の言語はそもそもどのような仕組みを持っているかという点について、生物言語学と呼ばれる研究も近年行われています。(この研究分野は上で述べたような言語学とは相当性質を異にするものです。)

言語のルーツを探る旅は、言語学的にはもはやあきらめざるを得ませんが、別の学問分野の知見を生かすことで見えてくることもあります。考古学もそうですし、また血液型遺伝子の研究によって日本人のルーツを探るといった研究も行われています。

どうやら今回の質問の趣旨からかなり離れてきたようですので、今日はこの辺で。
プロフィール

神谷 健一
KAMIYA, Kenichi
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