スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

エスペラントについて

Q:エスペラントとは何ですか?どこで使われているんですか?

A:エスペラントは1880年代にザメンホフという人によって作られた人工言語です。人工言語ということ自体、これまで聞いたこともなかったという人もいるかもしれませんね。人工言語という言葉になじみがなければ、国際共通語と言い換えてもよいかもしれません。

言葉の通じない人の間で使う共通語は、やっぱり必要ですよね。英語があるじゃないか、という声が聞こえてきます。確かに英語は既に事実上の世界の共通語になってしまっています。でもそれで良いのでしょうか。例えば異国間ビジネスの世界などでも英語が共通語として使われる場面は多いですが、英語にはネイティブスピーカーがいます。ネイティブと非ネイティブの間のコミュニケーションをネイティブの言語で行うと、どうしても格差ができてしまいます。もちろん日本人と中国人が英語でやり取りするというような目的であればまだ理にかなっているところはありますが、それでも双方が不完全な状態でのコミュニケーションとなってしまう危険性はあります。(だから一般的にはどちらか、あるいは双方の言語で通訳を介することになるわけです。通訳にはまた別の問題もありますが、これについてはまた別の機会に。)

エスペラントはその成立事情からも分かりますが、ヨーロッパの言語から作られていることもあって、非ヨーロッパ言語を母語とする話者には何かと抵抗があるものです。でも、やっぱりどこかの言語に何らかの形で依拠することは必要であると考えます。様々な言語から平等に語彙を取り入れることを試みた人工言語であり、また日本人が作ったものでノシロ語というのがありますが、語彙体系があまりにも無節操すぎます。こちらのWikipediaでの記事にノシロ語の数詞の体系が書かれていますが、はっきり言ってメチャクチャです。日本発なので応援したいところはありますが、これでは広まるはずがないでしょう。ちなみにエスペラントの場合、語彙の75%はロマンス諸語(フランス語、スペイン語、イタリア語など)、20%はゲルマン語(英語、ドイツ語など)、5%がスラブ諸語(ロシア語、ポーランド語など)から採られているという計算が妥当とのことです。

私自身も少しだけエスペラントを勉強しました。どちらかと言えば私の場合は言語学的な関心が大きいのですが、印象としては非常に面白い言語です。中でもエスペラントの単語の成り立ちを知ってとても効率がよいと感じました。次の例について、ちょっと考えてみて下さい。

英語でgoodに当たる言葉はエスペラントではbonaです。
英語でbadに当たる言葉はエスペラントではmalbonaです。

英語でyoungに当たる言葉はエスペラントではjunaです。
英語でoldに当たる言葉はエスペラントではmaljunaです。

英語でsimpleに当たる言葉はエスペラントではsimplaです。
英語でcomplicatedに当たる言葉はエスペラントではmalsimplaです。

何かルールが見えてきませんか?そうです。mal- をつけると、反対の意味の単語を作ることができます。効率が良いですね。では、次の例はどうでしょう。

英語でfatherに当たる言葉はエスペラントではpatroです。
英語でmotherに当たる言葉はエスペラントではpatrinoです。

英語でbrotherに当たる言葉はエスペラントではfratoです。
英語でsisterに当たる言葉はエスペラントではfratinoです。

英語でuncleに当たる言葉はエスペラントではonkloです。
英語でauntに当たる言葉はエスペラントではonklinoです。

ちょっと難しかったかもしれません。でもここにも規則的なところがありますね。つまり、単語の最後の文字の直前に -in- をつけることで、男性から女性に変えることができます。もう一つ見てみましょう。

英語でgoに当たる言葉はエスペラントではirasです。
英語でwentに当たる言葉はエスペラントではirisです。

英語でmakeに当たる言葉はエスペラントではfarasです。
英語でmadeに当たる言葉はエスペラントではfarisです。

英語でtakeに当たる言葉はエスペラントではprenasです。
英語でtookに当たる言葉はエスペラントではprenisです。

パズルが得意な人であれば気づいたかもしれませんが、動詞の現在形は -as、過去形は -isで終わります。例外はありません。

以上、単語の成り立ちに関する3つの特徴を考えてきました。実はここにはもう一つ、重要なエスペラントの特徴があります。それは、全ての形容詞は -a で終わり、全ての名詞は -o で終わり、全ての動詞は -s で終わるということです。これはすごい特徴だと思いませんか?つまり単語の末尾を見れば、それがどんな品詞か一目で分かります。(名詞が -j で終わる場合や、形容詞が -aj で終わる場合、動詞が -i や -u で終わる場合もありますが、ここでは触れません。いずれにしても全て規則的に変化します。)

どうでしょうか。面白い言語でしょう。他にも文法体系が16種類のルールに収まるというのも大きな特徴です。英文法の全体を紹介しようとするとそれなりにページ数が必要ですが、エスペラントの文法はその気になればA4用紙1枚にまとめることさえできてしまいます。

でも残念な点があります。この記事でエスペラントにちょっと関心を持ってくれた人もいるかもしれませんが、本当の意味でエスペラントを自習できる、読みやすい教材はなかなか良いものがありません。文法の16種類のルールについてもそうですが、ある程度の文法用語が使われますので、英語は苦手だけど国際交流してみたいからエスペラントでもやってみようか、という人にぴったり合った教材はほとんどなさそうです。英語が苦手な人の多くは文法用語が苦手なんですよね?

もちろん「萌えるエスペラント語っ!」のような個性的な教材の試みも行われているようですが、万人受けするような内容ではないでしょう。

少々難しくても良いから、やっぱりちょっとエスペラントをかじってみたいという人は、世界中の多くの言語に翻訳されて提供されている自習教材が豊富に集まっているlernu! というサイトをお勧めします。(ちなみにサイト名は「学びましょう」という意味です。英語の learnからも連想できますね。そして、上でも少し紹介しましたが -u は実は動詞の命令形です。)

また、このサイト内で提供されていますが、エスペラントを紹介するための動画リンク集も非常に良くできています。7つに分かれていますが、全て見るには小一時間かかってしまいます。でもエスペラントに興味を持たれた方は是非これらの動画からどうぞ。

なお、この記事中の単語の変化形などについては田中克彦「エスペラント―異端の言語 (岩波新書)」から引用しました。ちょっと手強い本ですが、エスペラントの歴史や現状などが幅広く扱われた良本です。
関連記事

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

神谷 健一
KAMIYA, Kenichi
(kmyken1)

kmyken1

月別アーカイブ
カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
検索フォーム
リンク
最新記事
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。