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男女の話し言葉の違いについて

Q:日本では男女の話す言葉は少し違いますが、英語ではどうですか?

A:確かに日本語では「わたし待ってるわ」という文なら女性が、「おれ待ってるぞ」なら男性が使う言葉だな、と分かることが多いですが、英語のI'll be waiting for you. という文だけでは、男性の言葉か女性の言葉かは分かりません。

というよりもむしろ日本語は世界で一番性差のある言語であると考えて差し支えないでしょう。『月刊言語』という雑誌の1998年5月号で「KOTOBAのオリンピック」という特集が組まれており、「最も性差のある言語」部門で堂々の金メダルです。ついでながら銀メダルはタイ語、銅メダルは北米インディアン諸語の一つであるヤナ語だそうです。ちなみにこのヤナ語、カリフォルニア北部で話されていて、20世紀初頭に最後の話者が亡くなってしまい、死語となりましたが、幸運にも優れた言語学者による詳細な記録が残されているため、このようなランキングにも名前が挙がってきます。言語学大辞典によると、きわめて徹底した男ことばと女ことばの区別があったそうです。日本語では女性が「オレ」という言葉を使うなど、男ことばと女ことばの区別に崩れ始めている部分もあるようですが、ヤナ語がもし現代まで生き延びていたらどうなっていたか、想像してみると楽しいです(と思うのは私だけでしょうか…)。

さて、英語について。もちろん英語にも性差はありますが、「世界一」である日本語とは違って(念のため…だから日本語は特殊な言語だ、なんて考えないでくださいね)表面的に見えにくいだけです。我々が普段日本語を話す中で男性語と女性語を意識しすぎているだけであり、こまかく見ていくと英語にも女性的な言葉の使い方、男性的な言葉の使い方があるのです。

英語における女性語の特徴としてこれまで指摘されているものをいくつか示しておきます。
(1)色彩語や社会的にあまり重要でない女性特有の趣味に関する語彙が豊かである。
(2)あまり意味のないlovelyなどの感情的な語をよく使う。
(3)sort of, kind of などの言いよどみ表現を使って言葉を和らげる。
(4)日本語でいうなら「くそっ、ちくしょう」にあたるような、ののしり語を使わず、「あらまあ、なんてことを」などにあたるoh dear, my goodnessなどの弱い感嘆表現を使う。
(5)自分の意見を述べるときにも自信のないように文尾をあげて言う。また、相手の意見を求めて付加疑問文をよく使う。
(6)男性よりも標準的な表現を使い、より丁寧な話し方をする。

以上の説明は『入門ことばの科学』という本から一部を抜き出しました。ことばの研究に関わる分野としては、社会言語学という領域で扱っています。大学図書館などでは請求記号801.03の棚に並ぶことが多いので、関心のある人はこのあたりの本を探してみてください。残念ながら日本語で書かれた簡単な社会言語学の入門書が今手元にないので、ここでは紹介できません。

いつものようにまた脱線しますが、これまで社会言語学や他の領域でさまざまな研究がなされてきており、外国語として英語を学習する人たちが知っておくべき問題点がいくつも明らかになっています。しかし現行の中学校や高等学校の教科書を見ていても、なかなか反映されないのが現状といえます。以前に比べるとずいぶん良くなったという印象はありますが、まだまだです。教科書に出てくる英語が不自然だとは言いませんが、「その表現がどういった場面でどのような相手に対して用いるのか」といった観点の記述はほとんど見あたりません。こういうことも「日本人の英語力に問題あり」とされる一つの問題点かもしれませんね。

生きた英語を学ぶことの大切さはこういうところからもよくわかります。映画をうまく使った英語の学習も近年盛んに行われていますが、設備や時間的な制約などから、どこの学校・大学でもできるというものではありません。学校の授業では英語の基礎的な部分を身につけるだけにして、あとは皆さん自身の努力で映画などから生きた英語を身につけて欲しいものです。

いつも話していることですが、授業で身につけることができる語学力なんてごくわずかなものです。教室外での学びがなければ外国語は絶対に身につきません。
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